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夏風邪

夏風邪の原因

夏風邪風邪は冬にひくものを「冬風邪」、夏にひくものを「夏風邪」と呼びます。冬風邪を引き起こすウイルスは乾燥を好み、一方で夏風邪をもたらすウイルスは高温多湿を好む傾向があります。風邪の原因となる200種類以上のウイルスのうち、アデノウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルスが夏風邪を引き起こす最も一般的な原因となります。
細菌とは異なり、ウイルスは鼻や喉の粘膜の細胞に侵入して増殖していきます。また、自律神経の疲れや睡眠不足、夏の暑さや冷房によるストレスなどが免疫力の低下を招き、結果として夏風邪が長引くことがあります。


夏風邪の症状

夏風邪の症状には、各種の風邪症状(喉の痛み、咳、発熱、頭痛、鼻水、悪寒、倦怠感)のほか、腹痛や下痢などの胃腸系も見られます。
ウイルスにも以下のような症状が含まれます。

アデノウイルス

「アデノ」は英語で扁桃腺(喉)やリンパ腺を意味します。
アデノウイルス感染症の主な症状としては、喉の腫れや痛み、頭痛、高熱、激しい咳、結膜炎(目やにや充血)、大腸炎、下痢などが挙げられます。
アデノウイルスによる咽頭結膜熱は幼児から小学生に多く、流行のピークが6月~8月であることから「プール熱」とも呼ばれます。これは、プールでの接触やプールで使用したタオルの共有によって感染することが多いためです。成人が感染すると重症化しやすいので注意する必要があります。夏に流行しますが、プール熱は1年を通して感染力があります。

エンテロウイルス

「エンテロ」は英語で腸管を意味します。エンテロウイルスは喉から感染し、腸内で増殖するウイルスです。エンテロウイルス感染症の主な症状としては、発熱、喉の痛み、鼻水、咳、下痢、腹痛、口内炎などが挙げられます。
手足口病やヘルパンギーナの原因となり、特に皮膚に発疹が出るのが特徴です。この感染症は圧倒的にお子様の患者様が多いですが、場合によっては成人も感染することがあります。

  •  手足口病…手、足、口、お尻、膝などに水疱性の発疹が出ますが、高熱は伴いません。
  • ヘルパンギーナ…突然の高熱、口の中にできる水疱を伴う発疹や、口内炎など口の中から喉にかけてできる痛みを伴う炎症が現れるのが特徴です。 口腔内の疼痛のため摂食障害、脱水となることがありますが、多くは予後良好で、まれに無菌性髄膜炎急性心筋炎などが合併することがあります。

コクサッキーウイルス

エンテロウイルスの一種で、同様に腸内で増加するウイルスです。主に口の中にヘルパンギーナを引き起こし、左右対称の小水疱が特徴です。
主な症状は、高熱、喉の痛み、口内炎、食欲不振、頭痛、下痢、嘔吐などです。
エンテロウイルスと同様、圧倒的にお子様の患者様が多い感染症です。

RSウイルス

RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。 新生児の半数以上が1歳までに、ほぼ全員が2歳までに感染します。感染と発症を繰り返すことがあり、流行は通常秋口から始まり春先まで続くと考えられていました。しかし近年では夏からも流行が始まっています。このウイルスは感染力が強いため、特に幼稚園や保育園などの施設内感染には細心の注意が必要です。


夏風邪の治療

症状に応じた対症療法と安静療法が治療の主流になります。特にインフルエンザのような簡易検査は行われません。患者様はできるだけ安静にし、栄養、水分の摂取や、十分な睡眠を心がけ、自然治癒を待つことが一般的です。
喉や口内炎の痛みがある場合は、刺激の少なく軟らかい食事を中心に摂り、十分な水分を補給することが重要です。
特に、小さなお子様やご高齢の方は、症状が長引くと体力が消耗し悪化する可能性があるため、十分な注意が必要です。
ウイルス感染による場合、抗生物質では十分な効果が得られないため、高熱や喉の痛み、咳などの症状に対処するには、総合感冒薬や解熱剤が用いられます。


夏風邪と夏バテの関係

風邪は健康な方でも感染しますが、特に体の免疫力が低下しているときに感染しやすくなります。さらに、暑さやエアコンの長時間使用による疲労、食欲不振、睡眠不足なども免疫力を低下させ、夏バテ症状を引き起こすことがあります。そのため、このような状況下では平常時よりも夏風邪にかかりやすくなるため、注意が必要です。
エンテロウイルスは、喉だけでなく腸でも増殖し、発熱や喉の痛み、下痢や腹痛などの腸の症状も引き起こします。「夏風邪はお腹に来る」とよく言われるのは、このウイルスに感染した場合です。
アデノウイルスも呼吸器や腸で増殖し、発熱、咽頭痛、激しい咳が特徴です。場合によっては咽頭結膜炎や咽頭炎を引き起こすこともあります。しかし、これらのウイルスに対する治療法に大きな違いはなく、多くの場合、どのタイプのウイルスに感染しているかを判断する必要はありません。一般的に、治療は症状に基づいた対症療法が行われます。


夏風邪と
新型コロナウイルス感染症
の違い

夏風邪・冬風邪・新型コロナウイルス感染症は、多くの共通点があり、症状からの見分けが難しいことがありますが、夏風邪や新型コロナウイルス感染症には、冬風邪と異なる特徴も見られます。夏風邪では、喉の痛みより発熱が先行する場合があります。また、1週間以上続く高熱や、下痢や嘔吐などの消化器症状も見られます。
新型コロナウイルス感染症では、インフルエンザと似た症状があり、鼻症状は少ないものの、筋肉痛や頭痛が多いこと、咽頭痛、咳などの症状があること、嗅覚や味覚の異常を伴うことがあること、消化器症状が見られることがあるなどの特徴があります。しかし、これらの特徴的な症状がない場合もあるため、自己判断は避けましょう。夏風邪や新型コロナウイルス感染症は、多くの場合、1週間以内に症状が治まりますが、症状が軽度であれば自宅で外部との接触を避けて、市販薬などで症状を和らげながら様子を見て大丈夫です。数日たっても症状が治まらない場合は医療機関を受診しましょう。特に、息苦しさや強いだるさなどの症状がある場合、または基礎疾患がある方や妊娠中の方などは早めの受診が重要です。


夏風邪の予防

夏風邪の予防夏風邪の予防のために、外出から帰宅後には手洗いとうがいを徹底しましょう。プールに入った後は、目や体をしっかり洗うことも重要です。夏風邪のウイルスは湿度の高い環境で繁殖しやすいため、湿気を取り除くことが予防には重要です。特に睡眠中は、体から200~400ccもの汗が出ると言われています。汗で布団が湿っているとウイルスが増殖しやすいため、湿気を溜めないように部屋を除湿し、布団に除湿シートを敷くなどの工夫をしましょう。エアコンなどの使用で室内外の温度・湿度差が大きいと自律神経が乱れ、体温の調節機能が乱れて免疫力が低下する場合もあります。そのため外出時には上着などで寒暖差を調節することも、夏風邪の予防には重要です。また、冷房のきいた室内では水分補給を怠らず、乾燥や脱水を防いでください。
汗をかいたり脱水状態になったりした場合は、電解質や塩分を含むスポーツドリンクが有効です。冷たい飲み物は胃を冷やすので、常温の水や白湯でお腹を温めることも効果的です。